更新日:2020/03/08
終身保険で相続対策ができるってホント?非課税枠についても解説!
終身保険は相続税対策に非常に有効です。死亡保険金には一定額まで相続税が非課税になる制度があり、納税資金としても使えます。また遺産分割での終身保険の扱いや生前贈与での活用方法などもご紹介します。終身保険を利用して賢く非課税を目指しましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
終身保険の保険金非課税枠を利用した相続対策!使えなくなる可能性とは?
「相続税を非課税にすることができる」
こんな話をどこかで聞いたことがある人は多いかと思います。
「でも、お金は預金で遺せばいいし、相続対策なんてうちには関係ない」
このように考えている人も多いのではないでしょうか?
今や相続税は一部の富裕層だけに関係する事ではありません。2015年に相続税は大幅に改正され、課税対象となる世帯が一気に増えたと言われています。
相続税の対策を何もしないと、自分亡き後遺された家族が支払いに苦労してしまうかもしれません。非課税になる方法があればなるべく活用すると安心ですね。
そこで相続対策として多くの人に選ばれているのが終身保険です。
ここでは死亡保険金の非課税枠を利用した相続対策や、今後利用できなくなってしまう可能性についてまで分かりやすく解説します。
ぜひ今後の相続対策を考える上で参考にしてみてください。
なぜ終身保険で相続対策?非課税枠の利用を含む理由3つ
具体的には3つの効果があると言えます
- 終身保険の死亡保険金は相続税の非課税枠がある
- 死亡保険金は相続税を支払う資金として使える
- 遺産をめぐる争いを防ぐことができ、生前贈与にも利用できる
1:死亡保険金の非課税枠を利用した課税財産圧縮
非課税枠の計算方法は以下の通りです。
- 500万円×法定相続人の数=死亡保険金の非課税枠
例えば夫婦と2人の子がいる4人家族で夫が亡くなった場合、法定相続人は妻と子2人なので
- 500万円×3人=1,500万円
が非課税枠であり、1,500万円までの死亡保険金に対しては相続税の対象外になります。
一時払い終身保険の場合、加入した時点で保険料の分財産が減るので課税対象の財産を圧縮でき、死亡保険金の非課税枠も利用することが可能です。
2:納税資金の準備
例えば相続する財産のほとんどが不動産である場合、既に相続人の住居となっていると手放すことは難しいですし、売却するとしても、すぐに買い手がつくとは限りません。
また、亡くなった方の預金口座は凍結されるので、遺産分割協議が難航してしまうと期限までに相続できない可能性もあります。
そのような場合でも、終身保険に加入していれば、死亡保険金は一週間程度で受取人の口座に支払われるので納税資金に充てることができます。
3:遺産分割や生前贈与に活用できる
遺産の割り振りを決めていない状態で被相続人が亡くなってしまうと、遺された家族が遺産を巡って争う、争続(そうぞく)に発展しかねません。
生前に本人の意思で、誰にどれくらい資産を遺したいのかを決められるのは、終身保険の最大のメリットであると言えるでしょう。
また、年間110万円までは生前に現金を贈与しても贈与税がかからないため、生前贈与に終身保険を活用することもできます。
- 年間110万円以下の現金を親から子へ贈与する
- 贈与を受けた現金で親を被保険者、子を受取人とした終身保険に加入する
- 親が死亡した場合でも子が受け取る死亡保険金は相続税の対象外となる
この場合、子は親から贈与を受けた自分名義の現金で親に保険をかけていることになります。
自分で保険料を支払って自分で死亡保険金を受け取る場合は、相続税ではなく一時所得として所得税の対象となります。
一時所得は
- (受け取った死亡保険金額-支払った保険料の総額-50万円)×1/2
が課税対象となり、金額によって税率が変わります。
支払った金額から死亡保険金として増えた差額が50万円以下の場合は非課税になりますし、それを超えた分についても1/2に圧縮することができるので、節税効果があります。
終身保険での相続対策の今後は?利用できなくなる可能性が…
しかし今後もずっと利用できるとは言い切れません。もしかしたら新たに加入することができなくなる恐れもあるのです。
一時払い終身保険の販売停止続出の理由とは?
これには日本銀行が2016年より導入したマイナス金利が大きく関係していると言えます。
保険会社は顧客から預かった保険料を国債などで運用しています。
しかしマイナス金利の導入によって国債の利率が低下し、思うような運用ができなくなってしまったのです。
また、保険会社は国が定める標準利率というものを、保険商品の予定利率を決める基準としていますが2017年にこれが大きく引き下げられてしまったことも影響していると言えます。
これらの背景から、今後も販売停止や保険料の値上げが続く可能性があるため、一時払い終身保険の加入を考えている方は早めに検討することをおすすめします。
まとめ
これまでの内容をまとめると
- 500万円×法定相続人の数 までの死亡保険金が非課税
- 相続発生から死亡保険金受け取りまでがスムーズなので納税資金として使える
- 受取人をあらかじめ指定できるので争続対策になる
- 生前贈与を利用して一時所得扱い(非課税枠あり)にすることが可能
- 国の政策の影響を受け、一時払い終身保険は販売停止が相次いでいる
このように言えます。
特に死亡保険金の非課税枠は多くの人が魅力を感じるのではないでしょうか。
相続対策として非常に便利な終身保険。大切な家族が相続で困らないように、非課税枠などを利用してぜひ対策に利用してみてはいかがでしょうか。
気に入った商品があれば、販売停止になる前に検討してみましょう。この記事が、相続について考えてみるきっかけになれば幸いです。
相続税対策における生命保険についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。