更新日:2018/06/04
介護保険料が払えない!滞納する前にできることと滞納時のデメリット
40歳以上になると、(公的)介護保険に加入しますが、そこで発生する介護保険料が払えないケースが考えられます。こういう時は、払えないからといって所定の手続きを踏まず、介護保険料を支払わずにおくと、未納となり、必要な介護サービスが受けられない恐れがあります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険料を支払えない場合は免除・減免して貰える事がある
しかし、払えないからといって放置しておくと、介護保険料未納となり、将来介護が必要になった時に必要な助成が制限されたり、受けられなくなるなど、極めて重大なデメリットを背負うことになります。
介護保険料が支払えない場合はまず市区町村窓口に相談しよう
介護保険料を支払うのが困難な場合においても、所定の手続きを踏まない場合には未納をみなされます。
相談の際は、ご自身だけではなく同居家族の経済的状態を示す資料を持っていかれると話がスムーズに進みます。
介護保険の第1号被保険者の免除・減免
介護保険の第1号被保険者とは、65歳以上の方です。
なお、生活保護受給者であっても65歳になれば第1号被保険者になります。
※この点が、第2号被保険者と異なります(後述)。
次の3類型に当てはまる場合、介護保険料が払えないとしてもやむを得ないと判断され、介護保険料が減免されます。
- 火災などによる被災の場合
- 失業や廃業などによる所得激減の場合
- 生活困窮者の場合
震災・風水害・火災などによる被災の場合
このような場合には、介護保険量の減免措置を申請することが可能です。
- 震災・風水害・火災などに伴い、住宅が3割以上の被害ありの場合
また、一家の整形を立てている人物が、震災・風水害・火災などに伴い、死亡者または障害者となった場合 - 年間世帯所得の合計が1000万円以下の見込みの場合
この2つの条件をいずれも満たした場合には、所定の手続きを踏めば、減免が認められます。
※詳細な条件は、各保険者(市町村)によって異なりますので、必ずお住まいの地域の市区役所にご相談ください。
失業や廃業などによる所得激減の場合
具体的には、以下のケースに該当し、介護保険料が払えないことがやむを得ないと認められた場合には、状況に応じ減免が認められます。
- 第1号被保険者(65歳以上のかた)の属する世帯の生計を主として維持するかた(主たる生計維持者)の収入が、次の事情により著しく減少したとき。
- 死亡、心身の重大な障害、または長期間入院 事業または業務の休廃止、事業における著しい損失、失業など 干ばつ、冷害、凍霜害等による農作物の不作、不漁など
- 主たる生計維持者のその年中の合計所得金額の見積額が100万円以下で、かつ、前年の合計所得金額の2分の1以下に低下するとき
これに関しても、具体的な基準は保険者(市町村)によって異なります。
生活困窮者の場合
なお、65歳以上の方で生活保護の認定を受けている方は、65歳になった段階で第1号被保険者として介護保険に加入します。
介護保険料は生活保護費(生活扶助)加算されるので安心です。
介護保険の第2号被保険者の免除・減免
※したがって、40歳未満の方は、介護保険に加入していないため、介護保険の支払い義務もない代わりに、介護保険による補助を受けることができません。
※なお、生活保護受給者の方で、40歳以上65歳未満の方は、生活保護の認定を受けると、医療保険と一緒に介護保険からも脱退します(65歳以上の方は除きます)。
※ただし、その場合には介護保険料からではなく、税金による扶助(介護扶助)を受けることができます。
会社勤務の方(会社の医療保険に加入している方)と、自営業・フリーランスの方とでは、介護保険料の納付・徴収方法が異なります。
特に後者の方の場合には、国民健康保険料と一緒に介護保険料を支払うことになるため、介護保険料を払えない(未納)の場合には、国民健康保険も滞納することになりますのでご注意ください。
火災などによる被災の場合
火災のほか、風水害、地震などによって、介護保険料を支払えない状態になった場合の扱いです。
第1号被保険者の方と、同様の取り扱いになります。
被災割合は、上記のとおり3割を目安にしてください。
失業や廃業などによる所得激減の場合
※保険者(市町村)により、基準はそれぞれ異なります。
生活困窮者の場合
生活保護の基準に満たないけれども、生活が困窮していて介護保険料が払えないという方の場合は、前述の第1号被保険者の方(65歳以上)と同様の扱いになります。
介護保険料が払えないまま滞納してしまった場合
- 介護保険料の減免申請(上記)
- 介護保険料納付の猶予申請
保険料の減額・免除に該当した場合や、それに類する状態となった場合には6か月の範囲内で納付期限を延長できることがあります。
これらの制度を活用すれば、以下のような滞納によるペナルティーを避けることができます。
介護保険料を1年以上滞納した場合
介護保険料が払えないまま、そして減免や猶予の手続きをしないまま1年以上経過すると、ペナルティーの適用が始まります。
まず、サービス利用料をいったん全額自己負担しなくてはならなくなります。
尤も、後日申請することにより自己負担分を引いた金額(9割または8割相当額)が返ってきます。
介護サービスは高額なもの(入所や住宅改修など)もあり、これらを自己負担するのは、大変です。
介護保険料を1年6ヶ月以上滞納した場合
さらに、支払えない期間が1年6か月以上になると、ペナルティーがより重くなります。
上記のペナルティーに加え、これまで滞納していた介護保険料が、支給金額から引かれます。
例えば、20万円の医療サービスを利用した場合において、1割負担の場合は、これまでなら申請すれば事後に18万円が返ってきますが、滞納した介護保険料が10万円ある場合には、これを控除され、8万円しか返ってきません。
介護保険料を2年以上滞納した場合
さらに、2年間支払えない状態が続くと、最も重いペナルティーが科されます。
具体的には、上記のペナルティーに加え、さらに一定期間自己負担割合が3割に引き上げられます。
例えば、上記の例でいえば、本来1割負担の人でも負担割合が3割負担になるため、最初に20万円支払った後、これまで滞納した保険料10万円に加え、自己負担分6万円が控除されるので、わずか4万円しか返ってこないことになります。
まとめ
ペナルティーの内容を見ると、介護保険料を払えないで放っておくと、事実上介護サービスを受けるのが極めて難しい状態になります。
確かに、介護保険料は負担ですが、それが支払えない場合に備えて様々な制度があります。
また、将来介護を受けることを考えると、1割(2割)負担で済ませることは、自分だけではなく介護者(家族)の経済的安全を守ることにもつながります。
必要な介護サービスが、必要としている人に行き渡ることを切に希望します。