更新日:2022/07/09
台風被害は火災保険で補償される? 対象範囲と請求のポイントを解説
台風で被災した時には、火災保険で補償を受けることができます。火災保険には「水災補償」「風災補償」「落雷補償」と、3種類の保証があります。この記事では台風で被害を受けた時に火災保険が適用される範囲と、請求のポイントなどについて解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 台風による被害は火災保険が適用される!
- 火災保険では台風被害を「水災」「風災」「落雷」の3点で補償する
- ① 火災保険の水災補償
- ② 火災保険の風災補償
- ③ 火災保険の落雷補償
- 火災保険の補償対象は建物と家財に分かれている
- マンションでは保険の対象が変わることも
- 保険の対象が「建物」の時に補償されるケース
- 保険の対象が「家財」の時に補償されるケース
- 参考:カーポート・屋根・フェンス・アンテナ故障はどうなる?
- 台風被害を受けても火災保険で補償されない2つのケース
- ケース① 被害の原因が経年劣化の場合
- ケース② 被害から3年以上が経過して保険会社に請求をした場合
- 台風被害を受けると補償金はどのくらい受け取れる?
- 被害を受けてから保険金を受け取るまでの3ステップ
- ステップ① 被害にあった旨を保険会社へ連絡
- ステップ② 必要書類を保険会社に不備無く提出
- ステップ③ 保険会社の審査・査定から受け取りまで
- 参考:台風被害に備えて個人賠償責任特約を付けるのがオススメ!
- まとめ:火災保険の確認と見直しで、台風シーズンに備えよう
目次
台風による被害は火災保険が適用される!
火災保険は、台風による被害も補償の対象となります。
毎年のように報道される台風の被害は、日本人なら誰でも他人事ではないと感じていることでしょう。
実は火災保険の保険金支払額は、近年増加傾向にあります。
その理由は自然災害の増加によるもので、2018年以降、特に顕著となっています。
この記事では
- 台風による被害がすべての火災保険で補償されるのか
- 台風による被害で火災保険の補償範囲
- 台風による被害で火災保険で補償されない事例
- 台風による被害にあった時の請求のポイント
以上のことを中心に解説していきます。
万が一台風被害を受けた時に慌てないように、保険対応を知り安心して台風シーズンに備えましょう。
是非最後までご覧ください。
火災保険では台風被害を「水災」「風災」「落雷」の3点で補償する
台風ではさまざまな被害が予想されます。
大雨での床下浸水、強風による飛来物により壁や屋根が破損、落雷で屋根に穴が開く…など幅広い損害に備えが必要となります。
台風の被害に備えるため、火災保険には3種類の保証があります。
- 水災補償…台風・暴風雨、豪雨などによる洪水・土砂崩れや落石
- 風災補償…台風・竜巻・旋風・暴風などによる損害
- 落雷補償…落雷による屋根や家電などへの損害
台風補償があるわけではなく水災・風災・落雷に分かれていて、被害状況に応じた保障が適用されます。
もちろん、各補償を付帯していないと保証はされません。
自分の家に必要な補償かどうかは、各自治体が提供しているハザードマップなどを参考にすると良いでしょう。
ここからは、各補償について事例を交え更に詳しく解説していきましょう。
① 火災保険の水災補償
まず、火災保険の水災補償について解説していきます。
水害によって引き起こされる損害全般に対して補償されるのが、水災補償です。
例えば、このような事例が考えられます。
- 台風によって増水した海や川の水によって起こった洪水や高潮などの影響で、床上浸水した
- 多量の降水によって起こった土砂崩れや落石などに、家が巻き込まれた
以上のように、台風により水害が起こり、損害を受けた時には水災補償が適用されます。
② 火災保険の風災補償
次に、火災保険の風災補償について解説します。
台風による被害の中には、強い風によって引き起こされる風災もあります。
そのような時に補償をするのは風災補償です。
例えば、このような事例が考えられます。
- 風の影響で屋根やドアが飛ばされてしまった
- 強風により飛ばされてきた看板で、屋根に穴が開いた
なお、風によって飛ばされてきた看板や塀などによって怪我を負ってしまった場合、火災保険の風災による補償の範囲とはなりませんので注意が必要です。
このときは、火災保険ではなく傷害保険などが適用範囲となります。
③ 火災保険の落雷補償
続いて、火災保険の落雷補償について解説します。
台風は雨や風だけではなく、落雷を引き起こすこともあります。
落雷によって受けた損害を補償するのが落雷補償です。
例えば、このような事例が考えられます
- 落雷によって屋根に穴が開いてしまった
- 落雷によって家電製品が故障してしまった
火災保険は、家財も対象となるケースがあります。
落雷による電化製品の被害も補償される場合があることは覚えておいて損はないでしょう。
なお、家財の補償に関しては注意が必要です。
火災保険の補償対象に関して、この後詳しく解説します。
火災保険の補償対象は建物と家財に分かれている
火災保険に加入する際、保険の対象を以下の2種類から選びます。
- 建物…屋根、窓、建物の基礎、車庫や物置など
- 家財…家具・家電など。建物の中にある、被保険者が所有する家財のこと
細かい規定は保険会社によって変わる部分もありますが、大まかに説明するとこのようになります。
どちらか一つ選ぶことも、両方加入することもできます。
建物と家財、それぞれ別に保険金額が設定されますので、片方の補償しか加入していないともう片方の保険金は受け取れません。
マンションでは保険の対象が変わることも
マンションやアパートの賃貸住宅の場合、入居時に火災保険への加入が条件になっていることが多くあります。その場合、建物ではなく家財を対象とする火災保険に入ります。
建物は所有者が火災保険に加入しているからです。
マンションを購入した場合は、専有部分(扉・クロスなど)と家財が補償対象となります。
マンションの管理規約で細かいことが決まっています。専有部分の範囲や定義に関しては個別に確認をしましょう。
保険の対象が「建物」の時に補償されるケース
台風による危害は様々なケースが想定されます。
ここでは保険の対象が「建物」の時に損害を補償されるケースを抜粋して紹介します。
保険の対象が「建物」の事例 | 種類 |
---|---|
台風による風の影響で玄関のドアが壊れてしまった | 風災 |
台風による猛烈な風で窓ガラスが割れてしまった | 風災 |
台風による落雷で屋根に穴が開いた | 落雷 |
台風による豪雨で排水が逆流し、床上浸水してしまった | 水災 |
台風による豪雨の影響で土砂崩れが起こり家が影響を受けた | 水災 |
このように、台風を起因とする直接的、または間接的な被害を建物が受けた場合、火災保険の補償範囲となり補償を受けることができます。
保険の対象が「家財」の時に補償されるケース
家財とは、家具や家電製品などの生活用の動産のことを指します。
たとえば以下のようなケースでは、家財への損害とみなされ、補償を受けることができます。
保険の対象が「家財」の事例 | 種類 |
---|---|
台風によって窓が割れ、吹き込んできた雨によってタンスが濡れて使えなくなった | 水災 |
台風によって発生した落雷の影響で冷蔵庫やテレビが壊れてしまった | 落雷 |
台風の影響で発生した風によって自転車が飛ばされ、壊れてしまった 風 | 風災 |
自転車または排気量125cc以下の原動機付自転車についても家財の扱いとなり、火災保険の家財の補償範囲となります。
車両は自動車保険の車両保険が補償の範囲内となります。
参考:カーポート・屋根・フェンス・アンテナ故障はどうなる?
台風による特に暴風で壊れたり飛ばされやすいのは、建物そのものや家財よりも、むしろ外に備え付けのカーポートや屋根、外壁のフェンスやアンテナなどです。
これらは直接建物を構成しているものではありませんが、火災保険においてはどのような扱いとなっているのでしょうか。
こういったものは建物の付属設備という扱いとなっており、建物と一体となって機能をなすものであるため、火災保険においては建物と同一とみなされます。
つまり、カーポートなどが風で壊れたり、屋根が飛ばされてしまったといった損害に対しては、火災保険の補償範囲内となるのです。
付属設備として扱われるものには、下記のような設備が挙げられます。
- カーポート
- 屋根
- フェンス
- アンテナ
- 物置
- 門扉
- 塀
- 垣
- 車庫
- 畳
- 電気設備やガス設備など
これらは主な付属設備ですが、建物と同一とみなされるものになります。
台風被害を受けても火災保険で補償されない2つのケース
ここまで、台風による被害で火災保険の補償範囲となるものを見てきました。
注意すべき点として、補償をつけていない部分には補償はされません。
水災補償をつけていないと、台風による大雨での床上浸水は対象にならないのです。
地域のハザードマップなどで、本当に必要ないのかどうか確認しましょう。
火災保険は一見すると、かなり補償範囲が広いように見えます。ですが、火災保険では補償されない損害もあります。
補償を受けることができるかどうかは、以下のような事実がないことを客観的に示すことができるかどうかなので、あらかじめ確認しておきましょう。
ケース① 被害の原因が経年劣化の場合
まず、建物や家財の破損などの原因が、経年劣化によるものである場合には火災保険の補償を受けることができません。
台風の被害で、屋根が破損したため請求をしたが、経年劣化と言われ保険金を受け取れなかった…実際にそういうケースはあります。
建物や家財は、使用または年数を経過することによって徐々に劣化していくものです。
購入から数十年も経っているような建物などの場合、いわゆる「老朽化」によって台風などの災害がなくとも自然に破損することは起こり得ることです。
そのような状態の建物や家財が台風で被害を受けた場合、経年劣化とみなされてしまうと、火災保険による補償を受けることができなくなってしまいます。
経年劣化によるものか、それとも台風による被害なのかを客観的に判定することは難しいですが、自然に傷んできた建物はきちんとメンテナンスを行っておきましょう。
定期的にメンテナンスをし、その記録や支払の履歴を証明できれば経年劣化とはみなされず、きちんと火災保険による補償を受けられる確率が高くなります。
また、台風などの自然災害で被害を受けた時には、被害直後に写真を残すようにしましょう。
経年劣化なのか、台風の被害なのか判断するときに有利な材料となります。
ケース② 被害から3年以上が経過して保険会社に請求をした場合
また、火災保険には法律により請求期限が設けられています。
その請求期限は3年間と決められており、台風による被害が発生してから3年間保険会社に請求をしないでいると、請求権が消滅してしまいます。
3年の請求期限には以下のような理由があります。
- 被害発生から3年間も経過すると破損個所が風化し、経年劣化との区別がつかなくなってしまうため。
- 期限を設けないでいると何年も前の保険請求が来ることによって、保険会社が安定的な運営を行えなくなるため。
修繕が完了していても3年以内であれば申請が可能です。
台風などの自然災害が起きると、保険会社への請求が後回しになってしまいがちですが、この請求期限には気を付け忘れないようにしましょう。
台風被害を受けると補償金はどのくらい受け取れる?
台風によって被害を受けた場合、火災保険で受け取ることのできる保険金はどのぐらいになるのでしょうか。
火災保険による損害は、基本的に実損補償となります。
これは、実際に損害を受けた金額=修理にかかる金額と考えることができ、破損した箇所を工務店などに直してもらったときにかかった費用や応急処置代などの金額をそのまま受け取ることができます。
ただし、損害保険の場合は一般的に免責金額が設定されているものが多いです。
免責金額とは、保険金を受け取る際の自己負担金のようなもので、保険加入の際にあらかじめ設定しておくものになります。
例えば損害額が100万円で免責金額が5万円の場合、受け取ることのできる保険金は95万円となります。
免責金額は設定が高ければ高いほど保険金が安くなるという特徴があり、保険加入の際には免責金額をいくら設定するのか、いざというときの負担金額と保険料とを比べて決めることが大事です。
被害を受けてから保険金を受け取るまでの3ステップ
それでは、台風によって被害を受けた場合、どのように保険会社に請求し、保険金を受け取れば良いのでしょうか。
ここでは、3つのステップに分けて保険金の請求から受け取りまでを解説します。
きちんと下記の手続きを踏んで、保険会社への請求を忘れずに行いましょう。
ステップ① 被害にあった旨を保険会社へ連絡
電話などで保険会社に連絡をします。
契約者の氏名や電話番号、本人からの電話かどうか、保険の証券番号や被害の状況などを聞かれます。保険証券を手元に用意し、わかる範囲で説明しましょう。
ステップ② 必要書類を保険会社に提出
保険会社から請求のために以下の書類が届きます。
・保険会社所定の保険金請求書
・事故内容報告書
・損害箇所の写真
・修理見積書または請求書、領収書
準備ができたら速やかに保険会社に返送しましょう。
ステップ③ 保険会社の審査・査定から受け取りまで
保険会社に必要書類が届くと、保険会社による鑑定人の現地調査が行われます。
その結果と、提出書類などを元に審査・査定が行われます。
その後、契約者の指定口座に保険金が支払われます。
ステップ① 被害にあった旨を保険会社へ連絡
まずは、台風による被害に遭った旨を保険会社へ直接連絡します。
迅速な手続きのためには、メールやFAXよりも電話のほうが良いでしょう。
連絡の際には、保険証券を手元に用意します。
保険会社の窓口からは、契約者の氏名や電話番号、本人からの電話かどうか、保険の証券番号や被害の状況などを細かく聞かれます。
被害の状況などは、わかる範囲で構いませんので説明をしましょう。
連絡が終われば、保険請求のための書類が自宅に郵送されますので、以下の手順で保険会社に返送します。
ステップ② 必要書類を保険会社に不備無く提出
保険会社に提出する必要のある書類は、下記のとおりです。
保険会社所定の保険金請求書
保険会社から郵送される、保険金を請求するための書類です。
氏名や住所、生年月日などの必須事項から、破損個所の修理にいくらかかったか等の実費を請求額として記入します。
事故内容報告書
これは、被害の状況を詳細に記入するための書類です。
発生した日時、原因、破損の状況などを事細かに記載します。
保険金をきちんと受け取りたい人は、事故内容報告書の記入はできるだけ詳細に記入するようにしましょう。
損害箇所の写真
例えば割れた窓ガラスや壊れたドア、床上浸水したときの状況などがすべて分かるように、何枚も写真を撮っておきましょう。
保険会社はこの写真と事故内容報告書を見て、被害が間違いなく起きているかを確認します。
修理見積書または請求書、領収書
実際に修理にかかる費用、または支払った費用の金額が分かる証拠も必要です。
火災保険は実費補償が基本のため、いくら修理にかかったのか金額を明確にする必要があります。
この他にも、保険金額によっては印鑑証明や登記簿謄本が必要な場合もありますので、事前に保険会社に確認しましょう。
ステップ③ 保険会社の審査・査定から受け取りまで
保険会社に必要書類が届くと、保険会社による鑑定人の現地調査が行われます。
その結果と、提出書類などを元に審査・査定が行われます。
審査・査定が終了し、補償の対象であると認定されれば、保険金額が決定します。
その後、契約者の指定口座に保険金が支払われます。
参考:台風被害に備えて個人賠償責任特約を付けるのがオススメ!
台風による被害は、なにも自分の所有する建物や家財ばかりとは限りません。
自宅のアンテナやフェンス、屋根などが風で飛ばされてしまい、隣家や他の家の建物や家財を破損してしまうケースも十分に考えられます。
このとき、火災保険では自己の所有する建物や家財しか保険の補償対象とはならないため、他人の所有物については補償されません。
しかし、実際には他人の所有物を破損してしまった場合そのままにしておくわけにもいきませんし、最悪損害賠償を求められることにもなりかねません。
こんなときは、個人賠償責任特約を保険に付けておくのがおすすめです。
個人賠償責任特約とは、損害保険に特約として付加するもので、故意または悪意によらない偶然の事故で他人に怪我を負わせてしまったり、他人の所有物を破損してしまったときに使える特約です。
その内容は、法律上の損害賠償金額を上限として保険金が支払われる特約であり、こういった台風の被害についても保険金を受け取ることができるものです。
保険金の上限は5,000万円程度から上限無しとなっているものもありますし、月々の特約保険料も多くて500円程度です。
火災保険に付帯できる契約も多いため、個人賠償責任特約を付けておくことをおすすめします。
まとめ:火災保険の確認と見直しで、台風シーズンに備えよう
台風による被害は火災保険が適用されるのかどうかについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回のこの記事のポイントは、
- 台風による被害には火災保険が適用となり、水災、風災、落雷による被害の3つが補償範囲となる
- 台風による火災保険の補償対象は建物と家財である
- 台風による火災保険の補償額は実額補償となるが、免責額に注意する
です。建物や家財の被害は、どんな原因であれ火災保険が適用されるケースが多いため、まずこれらの被害があったら火災保険の会社に連絡してみましょう。
その際は、災害に遭って大変な中ではありますが、写真を撮って具体的な破損状況などが分かるようにしておくことも大切なので、忘れずに行っておきましょう。
また、いざというときに困らないように、今加入している火災保険の確認と見直しを行いましょう。
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自然災害の多発により2022年10月から保険料の値上がりがあります。台風シーズン到来直前の今のうちに、火災保険について見直しを行ってみてはいかがでしょうか。