更新日:2023/10/31
受託者賠償責任保険とは?保険料や支払われる保険金について解説!
受託者賠償責任保険とは、第三者から預かっている間に損害が発生した場合の費用を補償する保険です。サロン店舗を運営している事業や倉庫業を運営している事業者が加入すべき保険と言えます。こちらの記事では受託者賠償責任保険の保険料の具体例などについても解説しています。
内容をまとめると
- 受託者賠償責任保険は破損や盗難による事故による預り物の損害賠償を補償してくれる
- 補償範囲は業種ごとに違うため業種に合った保険を選ぶことが大事
- たとえお客さまからの損害賠償による被害は小さくても信用に繋がる
- 高価な物などの補償対象外の内容をしっかりと把握して対策した上で保険加入を検討するべき
- 企業ごと業種ごとに保険料は大きく異なる
- 受託者賠償責任保険と法人向けの火災保険との違いは保険の補償目的が違うこと
- 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 受託者賠償責任保険とは?
- 受託者賠償責任保険に加入すべき業種
- 受託者賠償責任保険で保険金が支払われる費用
- 保険金の支払対象とならない場合
- 受託者賠償責任保険の補償となる具体事例と特約
- 補償となる損害と具体事例
- 受託者賠償責任保険におすすめの特約と特約を付帯すべき業種
- 受託者賠償責任保険の保険料の例
- 受託者賠償責任保険に加入する方法と提供している保険会社
- 受託者賠償責任保険を提供している保険会社
- 受託者賠償責任保険についてよくある質問
- よくある質問1:レンタル業者から預かったものの損害も補償される?
- 質問2:受託者賠償責任保険と火災保険との違いは?
- まとめ:受託者賠償責任保険とは?
目次
受託者賠償責任保険とは?
受託物や受託者への賠償責任保険といえば、店舗を営んでいたり荷物を預かっている業種の方ならもうすでに加入しているのではないでしょうか。そして、たとえ一般企業などでもお客さまを招くシーンがある場合には、当然手荷物なども預かっているはずですので、受託者賠償責任保険を知っておく必要があるでしょう。
受託者賠償責任保険とは、こうした第三者からの荷物等を預かっている間に火災や盗難もしくは預かっている側の不注意により破損させてしまった場合に、損害賠償を補償する法人保険となっています。
たとえばレストランや美容院で、お客さまから一時的にコートや大きな荷物を預かっている場合に、盗難されたり汚してしまったときお客さんにそのままの状態で返還ができなくなってしまいます。お客さまからは損害賠償を迫られることとなり、賠償金を支払わなくてはなりません。そうなるとコートのクリーニング費用だけではなく、再調達に要する費用までも支払うこととなるでしょう。
そこでこの記事では、受託者賠償責任保険についての詳しい内容をわかりやすく解説していきます。
その前にそもそも法人向けの損害保険についてよく知らないといった方は、「ほけんROOM」で公開している記事をご覧ください。
法人向けの損害保険の基本知識については、「法人向けの損害保険について」からご覧ください。
受託者賠償責任保険に加入すべき業種
受託者賠償責任保険とは先ほど解説したようにお客様から預かった持ち物に損害が発生した場合に保険金が支払われる保険です。そのため加入すべき業種は「お客様から持ち物を預かることがある事業」です。
そこで具体的にお客様から持ち物を預かる機会がある事業が以下になります。
- 理美容店・サロン店経営
- 倉庫業を営む会社
- ゴルフ場やレストラン
- 手荷物を預かるロッカーなどの業者
- 各種委託加工会社
- 一般企業で一時的に第三者の荷物を預かったり保管・管理している会社
- クリーニング業者:クリーニング業者賠償責任保険
- 駐車場や自動車整備工場:自動車管理者賠償責任保険
- ホテル・旅館等:旅館賠償責任保険
受託者賠償責任保険で保険金が支払われる費用
先ほど受託者賠償責任保険では、第三者から預かったものに損害があった場合の費用を補償されると説明しました。
具体的に補償される費用は以下です。
- 損害賠償金
- 損害防止費用
- 権利保全行使費用
- 緊急措置費用
- 訴訟等にかかった費用
- 保険会社への協力費用
さらに保険会社によっては、特別費用として、損害賠償請求が行われる恐れがあると事前にわかった場合に、そのための対処を行う費用も補償されることもあります。
事故の発生後に生じる費用から訴訟等に発展してしまった場合の費用、そして和解・判決による損害賠償金の補償までを、基本補償ですべてカバーできるようになっています。
業種などもっと細かい補償を望む場合は、オプション補償で損害賠償金や損害費用が拡大されますので、各保険会社の補償内容を確認しておきましょう。
保険金の支払対象とならない場合
受託者賠償責任保険は賠償責任を負うリスクを回避できるので有用な保険ですが、可否のラインが微妙なケースではなく、「明らかにその場合は補償されない」といえる事例がいくつかあります。
それがどのような事例かというと、
- 故意に受託物を破損・汚損・紛失させた
- 事故を起こした受託物の所有者が当事者の身内である
- 歴史的に価値のある美術品など法外に高価な物品である
- 地震や津波などの災害が原因である
- 物の性質上、どうしても事故が避けられなかった
受託者賠償責任保険の補償となる具体事例と特約
どのような物品が、この「受託者賠償責任保険」の対象となるのでしょうか。
この保険におけるポイントはそれが「受託物」であること、いわば他人からの借り物である必要があるので、基本的にそれに当てはまる場合は補償の対象となります。
たとえば利用者から様々な「もの」を預かる倉庫業などは、安価なものからある程度高価なものまでが「受託物」となります。
もし物品をまとめて管理している倉庫が火災で全焼し、預かっているものがすべて燃えてしまったような場合、どのようなものでも基本的に例外なく賠償されなければなりません。
しかし補償範囲について実は例外もあり、その点についてはまた後ほど説明します。
補償となる損害と具体事例
ここで損害事例としてサロン業、倉庫業、飲食業の3つを紹介します。
- サロン業:一時預かりしていたカバンが盗難に遭った
- 倉庫業:預かった物品を一括管理している倉庫が火災に遭い全焼
- 飲食業:一時的に預かったコートを落とし、汚してしまった
ここでポイントとなるのは利用客から「預かっていた最中に物品に問題が生じた」ような場合が対象だという点です。
保険によっては受託物が盗まれた場合か、紛失した場合、このうちいずれかは補償の対象外となることもあります。
補償の対象範囲は保険会社で異なるので、契約前にチェックしておきましょう。
受託者賠償責任保険におすすめの特約と特約を付帯すべき業種
次は受託者賠償責任保険におすすめの特約と、特約を付帯すべき業種について紹介します。
【おすすめの特約】
こちらの法人保険に加入する場合は以下の特約を同時に契約することをおすすめします。
- 事故対応特別費用補償:加入中の会社が賠償の対処に伴い負う費用を補償
- 漏水補償特約:漏水などで受託物が損害を負った場合に補償
- 貴重品の補償:主に貴重品に対して賠償責任が発生した際に限度額内で補償
- 紛失危険の補償:受託物を紛失した際に賠償費用を補償
- 求償権放棄:第三者にも責任がある場合発生する求償権を放棄
- 修理・加工上の損壊の補償:修理または加工課程で発生した賠償責任を補償
- 費用内枠払い補償:枠を調整して保険料を割引
いわゆる元々の補償範囲に含まれていないグレーな部分、たとえば「紛失」や「漏水」に伴う事故を、特約に加入することで確実にカバーできます。
逆にいえば、特定の事故に関するリスクが高いのにも関わらず特約を付帯していないと、いざ賠償責任が発生した際に補償されない、という事態も考えられますから、より安心して事業を経営するためには契約しておく必要があると考えられます。
また特約は本契約カバーできない部分をカバーするだけでなく、訴訟に備えたり保険料を安くしたりできます。基本的には特約を付帯する分コストも高くなるので、どの特約が本当に必要なのか見極めたうえで決定するようにしましょう。
【特約を付加すべき業種】
続いて上記の特約を付帯すべき業種を紹介します。
- サロン業
- 理美容院
- 飲食業
- ホテル業
受託者賠償責任保険の保険料の例
ここまでは受託者賠償責任保険に加入するとどのような補償を受けられるのかを紹介してきましたが、これらの補償を受けるためにはどれくらいの保険料を支払う必要があるのでしょうか。
区分 | 上限 |
---|---|
支払限度額(1事故) | 1,000万円 |
支払限度額(期間中) | 1,000万円 |
免責金額(1事故) | 5,000円 |
区分 | 上限 |
---|---|
支払限度額(1事故) | 500万円 |
支払限度額(期間中) | 500万円 |
免責金額(1事故) | 5,000円 |
受託者賠償責任保険に加入する方法と提供している保険会社
ここまでご覧になって受託者賠償責任保険に自分が運営する事業でも加入すべきだと感じている方もいると思います。そんな受託者賠償責任保険の加入方法は、こちらの保険を取り扱っている保険会社か、保険代理店に問い合わせることで加入することができます。
しかし保険会社に問い合わせて、保険に加入する前に自分が運営する事業で、具体的にどのようなリスクがあるのかを知りたい方もいると思います。
そんな方々には法人保険やリスク対策に詳しい専門家に相談できる「マネーキャリア」をおすすめします。
「マネーキャリア」では毎月約30社の法人の経営者の方や開業予定の方々などが法人保険の加入や事業のリスク対策についてお問い合わせをいただいています。
また相談した方の98.6%が満足していただいているので安心してご相談いただけます。
相談したいことがある方は以下から相談をお申し込みください。
受託者賠償責任保険を提供している保険会社
先ほどの解説で、受託者賠償責任保険に加入する場合は、保険会社または、保険代理店に問い合わせることで加入できると記入しました。
しかし加入できる保険会社がいくつかあり、どの保険会社が良いのかわからない方もいると思います。そこでここからは受託者賠償責任保険に加入できる保険会社とその比較をしていきます。
以下の表に掲載されている保険会社で、受託者賠償責任保険が提供されています。
安心感 | 補償内容・特約の 充実具合 | |
---|---|---|
三井住友海上 | ◎ | ○ |
大同火災 | ○ | ○ |
損保ジャパン | ◎ | ◎ |
まず上記表の安心感は、社会的に良いイメージがある損害保険会社かどうか、損害保険協会に加入しているかどうかの3段階で評価しています。
続いて補償内容や特約の充実具合については、それぞれの保険会社でカバーできる範囲の広さを3段階で評価しています。
こちらの記事で最も高評価になっている保険会社は、損保ジャパンが提供している受託者賠償責任保険です。「マネーキャリア」では、より詳しい内容を用いてそれぞれの保険会社を比較することができるので、気になる方はぜひご利用ください。
受託者賠償責任保険についてよくある質問
ここからは受託者賠償責任保険についてよくある質問について分かりやすく解説していきます。
今回こちらの記事で解説する質問は以下の2つです。
- レンタル業者から預かったものの損害も補償される?
- 受託者賠償責任保険と火災保険の違いとは?
よくある質問1:レンタル業者から預かったものの損害も補償される?
まず最初のレンタル業者から預かったものの損害も補償されるのかという質問の解説をしていきます。
今回解説している受託者賠償責任保険では「他人」から「預かった」物品、いわゆる受託物にかかる事故が補償対象ですが、レンタル業者から預かった物品はどうなるのか気になる方もいるでしょう。
こちらは変わらず、レンタル業者から預かったものも同様に補償されます。
公式の説明で「他人」という範囲のなかに「レンタル業者が含まれる」ことが明確に記載されていることもあります。
質問2:受託者賠償責任保険と火災保険との違いは?
続いては受託者賠償責任保険と火災保険との違いについて解説していきます。まず受託者賠償責任についておさらいします。
受託者賠償責任保険 | |
---|---|
補償内容 | 第三者から預かったモノに損害を与えてしまった場合に発生する費用を補償 |
受け取ることができる保険金 |
|
受け取ることができない保険金 |
|
このように受託者賠償責任保険では、第三者から預かったモノに対して損害が発生した場合に保険金が支払われるため、損害賠償責任を補償するための法人保険と言えます。
反対に火災保険についてみてみましょう。
火災保険 | |
---|---|
補償内容 | 火災や自然災害により建物や設備等が損傷した場合の費用を補償 |
受け取ることができる保険金 |
|
受け取ることができない保険金 |
|
このように法人向けの火災保険は、自社の建物や設備に損害が発生した場合に補償が適応されるため、資産保全のための法人保険と言えます。
つまり受託者賠償責任保険と火災保険の違いは、保険の目的が違うと言うことだと言えます。
法人向けの火災保険の補償内容などについて詳しい内容を知りたい方は、以下からご覧ください。
まとめ:受託者賠償責任保険とは?
受託者賠償責任保険について補償内容や具体例などをみてきましたが、受託者賠償責任保険を検討しようとしている方も、受託者賠償責任保険が気になっているという方にも参考になったのではないでしょうか。
第三者から物品を預かるということは、本当に気を付けなければ大きな損害となってしまうこともあります。会社も従業員も受託物ということは承知のうえで預かっていますし、預ける側も安心して預けるはずです。そこでもしもの事故が起これば、信用問題に繋がってきます。けれども、企業側の後のフォローや対応が真摯的であれば、自然とお客さまもまたここに来ようという気になるでしょう。
そのためにも受託者賠償責任保険は無くてはならない保険であると言えるのではないでしょうか。そのためまだ受託者賠償責任保険に加入していない方は加入することをおすすめします。
また既に受託者賠償責任保険に加入している事業者の方は、この機会に一度保険の見直しをすることをおすすめします。保険の見直しをすることで、保険料が今よりも割安になったり、補償漏れやダブりが無くなる可能性があります。
そのような法人保険に関する相談は、「マネーキャリア」がおすすめです。「マネーキャリア」とは、法人保険や事業のリスク対策に詳しい専門家が事業のリスクに関する相談や、法人保険の見直しなどをすることができるサービスです。
相談は何度でも無料なので少しでも気になることがある方は、以下からお申し込みください。
また、ほけんROOM公式では受託者賠償責任保険以外も多くの法人保険に関する記事を掲載しております。興味のある方はぜひご覧ください。