更新日:2018/01/01
2018年度介護保険制度見直しのポイントとは?分かりやすく解説!
2018年度に介護保険制度が見直しされます。一体どのように変わり、利用者にはどんな影響があるのでしょうか。見直しにおける政府の意図・介護保険の未来への展望とは?難解な改正内容について、ポイントを押さえて分かりやすく解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
2018年度介護保険制度見直しによる改正のポイント
- 要介護状態の改善などに応じた保険者への財政的な支援
- 医療・介護の連携の推進等
- 地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進等
- 介護保険法の見直しによる介護保険制度の持続可能性の確保
何だか難しい言葉ばかりですね。
各項目で、それぞれを詳しく説明していきたいと思います。
介護保険制度見直しは何年ごとに行われているのか
介護保険制度は何年ごとに見直しされているのでしょうか?
介護保険制度は2000年にスタートしました。
その後介護保険法は、2006年最初に改正されて以来、
2009・2012・2015年と3年ごとに改正されています。
今回の改正法は、2018年度より施行となります。
要介護状態の改善などに応じた保険者への財政的な支援
「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業と呼びます)」
へ順次移行させていくことが決定しました。
2017年度中に全ての移行期間が終わり、2018年度からは全自治体が完全に総合事業を実施することになります。
では、総合事業とは一体どういうものなのでしょうか?
介護サービス費を効率よく抑えるには
「そもそも要介護にならない」
つまり介護予防に力を入れることが最も重要です。
総合事業では、要支援以下に認定された人を対象として
「市区町村が中心となり、その地域ならではの介護予防サービスを充実させ、地域の中で支え合う体制を作る」
ということを目指しています。
まあ正直に言ってしまえば
「介護保険の費用がかさんで、もう国では要支援の人までは面倒見きれません。自治体の方で要介護にならないように何とかしてね」
という意図からの取り組みです。
ちなみに要支援と認定された人は全国で約175万人。これは全介護保険認定者数の27%以上となります(平成29年1月発表)。
総合事業を使える人は、介護保険で「要支援1」「要支援2」に認定された人に加え、基本チェックリスト実施の結果「生活機能の低下があり今後要支援状態になる恐れがある」とされた人となっています。
総合事業では、家事などの訪問型サービスやデイサービスなどの通所型サービスを、介護事業者ではなくNPO団体・ボランティア団体・民間企業などが行うことになります。
今までの介護保険の予防給付サービスは、その基準や料金は全国で一律となっていました。しかし今回の見直しを受け、今後は各市区町村がそれらを設定し運営する役割を担います。
総合事業は自治体それぞれで柔軟な対応ができる一方で、市区町村間でサービスの格差が広がることも懸念されています。既に
「デイサービスの送迎がなくなった」
「ヘルパーさんが、来たと思ったらすぐ帰るようになった」
など、十分なサービスを受けられなくなった要支援者の嘆きの声が上がっているのが現状です。
介護保険法の見直しによる地域包括ケアシステム深化・推進
これは、高齢者が住み慣れた地域でずっと暮らしていくことを目的とし「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」などの支援を地域ぐるみで行っていくためのサポート体制のことです。
地域包括ケアシステムを確立させるために、政府はどんな取り組みを行っていくのでしょう。
自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取り組みの推進
高齢者の生活を地域のコミュニティで支えることによって、地域全体の活性化に繋がることも期待されています。
国は自治体の実績評価に応じて交付金を出すなどのインセンティブを用意し、保険者としての機能を自治体間で競わせることも狙っているようです。
ただ何をもって「実績」とするかということについて、疑問の声もあがっています。
人員配置などの評価については数字で分かるため問題ないのですが、「要介護状態の改善」となると一概に介護度などの数字で計れるものではないからです。
高齢者の多くは心身の状態が安定せず、良くなったり悪くなったりを繰り返します。たとえ介護度が改善されたとしても、それが提供される介護サービスによるものとは言い切れません。
そして、地域包括ケアシステムの中でもう一つ国が掲げているのが
「重度要介護者となっても、なるべく住み慣れた地域で暮らす」
ということです。
利用者のためというのが表向きの理由ではありますが、その本意は
「施設介護には公費が多くかかるから、できる限り家でみてね」ということでしょう。
医療・介護の連携の推進等
介護保険3施設の中の一つである「介護療養病床」の入院患者の中には、「介護は必要だけれども、実は医療の必要性は低い」という高齢者も多く入所しています。それどころか、不必要な医療を受けさせてさらに財源のムダ遣いをしているという批判もあります。
介護療養病床というもの自体の意義を疑問視する声が上がり、(介護サービスを中心とした)介護老人保健施設などへ転換すべきと以前より言われていました。
そんな声を受け、2006年の介護保険見直しにより2011年度末を期限とした介護療養病床の廃止が決定したのです。しかしその転換はスムーズにいかず、廃止は2017年度末まで延長されています。
そして今回の見直しにより、2018年度より介護療養病床は「介護医療院」へ転換することが決まりました(移行期間6年)。
介護医療院は、利用者の医療への依存度により
「新類型I-1」(介護療養病床並みの人員配置)
「新類型I-2」 (老人保健施設並みの人員配置)
に分かれると予想されています。
ところで「介護医療院」。何だか介護保険施設としては、ずいぶん毛色の違う名称ですよね。
これは、医療機関から施設に見直しされることを良く思わない医師らのプライドに配慮したからといわれています。とかく医療従事者は「施設」という名称を嫌がるのです。
看護師の中でも、「急性期病棟のナースは優秀。介護施設のナースは落ちこぼれ」なんて、ひどい偏見があるそうです(わたしが今までに出会った施設の看護師さんたちは、心優しくて優秀な方ばかりでしたが)。
地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進等
障害のある人が65歳になると「介護保険優先原則」により、今までの障害福祉事業所のサービス提供を離れて介護保険事業所に移らなくてはなりませんでした。
見直しにより、訪問介護・デイサービス・ショートステイを「共生型サービス」と位置づけることで、障害福祉事業所が介護保険事業所の指定を受けやすくなりました。
高齢者サービスと障害者サービスの隔たりをなくすことで、障害者は慣れ親しんだ事業所をそのまま使えるようになります。また、限られた介護の労働力を最大限活用する狙いもあります。
ただし、
「高齢者・障害者サービス共に専門性が落ちて質の低下に繋がるのではないか」
「共生をメリットと感じない利用者もいるのでは」
「地域の繋がりが弱い都市部で、共生の理念がなじむのだろうか」
など、その効果を疑問視する意見も多くあります。
介護保険法の見直しによる介護保険制度の持続可能性の確保
そう、他でもない介護保険の財源確保です。
政府はどのようにしてその資金を調達しようとしているのでしょうか。
2割負担者のうち現役世代並みの所得者の負担割合を3割とする
40〜64歳の介護保険料計算に総報酬割を段階的に導入
協会けんぽも健康保険組合も保険料負担額は同額であるため、実質的には所得の低い協会けんぽの負担割合の方が多くなってしまいます。
そこで今回は、実際の報酬額を反映させる「総報酬割」へと見直しされることが決まりました。協会けんぽ側の負担は減り、大企業や公務員など高所得者の負担が増加することになります。しかし、
「国が負担していた協会けんぽへの補助を、他の健保組合に転嫁するも同然ではないか」
「そもそも健保組合の数を維持できるのか(健保組合はどんどん減っている) 」
という問題点も指摘されています。
まとめ
今から7年後の2025年、日本は団塊の世代が75歳を超え、国民の3人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎えます。
そこを乗り切るため、政府の締め付けがいよいよ本格的になってきたということが今回の改正で最大の焦点といえるでしょう。