更新日:2020/06/10
年金の保険料、いつまで払う?いくら払う?支給年齢や加入期間を全て解説!
国民年金と厚生年金、それぞれ保険料をいつまで払うのか、いくら払うのかご存知ですか?老後の資金形成のためにも年金のことはしっかり理解しておきましょう。ここでは年金の支払い期間や受給資格を得るためにいつまで払う必要があるのかなど、年金に関する疑問を全て解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 国民年金と厚生年金、それぞれ保険料はいつまで払うのか
- 国民年金と厚生年金の違い
- 国民年金の保険料はいつまで払う?いくら払う?
- 厚生年金の保険料はいつまで払う?いくら払う?
- 年金受給資格を得るためには年金をいつまで払う必要があるのか
- 60歳になったら厚生年金は払わなくていいのか
- 国民年金を60歳以降も払わなければならない人とは
- 厚生年金を60歳以降も払わなければならない人とは
- 国民年金・厚生年金の受給開始年齢は原則65歳から
- 65歳以上で厚生年金に加入している場合年金支払いが停止される場合も
- 繰り上げ受給の場合も年金支払いが停止される可能性がある
- 国民年金は任意で加入期間を65歳まで延ばすことができる
- 年金の未加入・未納・免除期間があり加入期間が足りない人におすすめ
- 国民保険の任意加入申請方法
- 年金はいくらもらえるのか?満額・加入期間ごとに解説
- 国民年金は加入期間によってもらえる金額が変わる
- 厚生年金は支払った保険料によってもらえる金額が変わる
- まとめ:年金はいつまで払う必要があるのか
目次
国民年金と厚生年金、それぞれ保険料はいつまで払うのか
年金には主に国民年金と厚生年金がありますが、それぞれの金額や、いつまで払うのかなど気になりますよね。
年金は、私たちの老後の生活の支えとなる大切なものですので、しっかり理解しておきたいものです。
そこでこの記事では、
- 国民年金と厚生年金の違い
- 受給資格を得るためにいつまで払う必要があるのか
- 受給開始年齢
- 国民年金の加入期間の延長
- 加入期間ごとの年金の支給額
などについて、わかりやすく解説していきます。
最近では、少子高齢化により受け取れる年金が少なくなるのではないか、など年金に対して不安を感じる方も多いと思いますが、年金が老後の生活を支えることには変わりありません。
是非最後までお読みいただき、大切な年金についてしっかり理解していただければと思います。
国民年金と厚生年金の違い
年金には主に、国民年金と厚生年金の2種類があります。
国民年金とは基礎年金ともいわれるもので、原則20歳以上から60歳までの日本国民が全員加入します。
20歳から60歳までの40年間加入した場合に満額もらえ、それより短い場合はそこから減っていきます。
一方の厚生年金とは、主に会社員が対象となっており、加入期間は会社に勤務している間、最長70歳まで払い続けます。
国民年金が個人が全額負担して支払うのに対して、この厚生年金は会社と個人で半分ずつを負担します。
そして、この国民年金と厚生年金は2階建ての構造になっており、国民年金は基礎年金として1階部分にあたり、全員が支給されます。
会社勤めで厚生年金に加入していた方は、1階部分の国民年金に加え、2階部分の厚生年金も支給されます。
国民年金の保険料はいつまで払う?いくら払う?
1階部分の国民年金の保険料は、全員、定額を毎月支払っていきます。
令和2年4月から令和3年3月分の国民年金保険料は、月額16,540円となっています。
尚、保険料の前納制度といって、毎月ではなく2年、1年、半年分をまとめて先に支払うことでそれぞれ割引が適用されます。
また、本来の納付期限よりも1ヶ月早く払う早割という支払方法もあり、こちらも割引が適用されます。
国民年金をいつまで払うかについては、前述したように、基本的に20歳から60歳になるまでの40年間とされています。
厚生年金の保険料はいつまで払う?いくら払う?
国民年金の保険料が定額であることに対して、厚生年金はその方の給与や賞与によって保険料が変わってきます。
具体的には、標準報酬月額という毎年4月から6月の給与をもとに計算した金額とボーナスに対して、共通の保険料率を掛けて計算された金額が保険料となります。
この金額を、本人と会社とで半分ずつを負担して支払います。
また会社に勤務している限り厚生年金は支払っていきますが、厚生年金の加入は70歳までとなっています。
従って、60歳や65歳の定年後に再雇用で働く場合でも、厚生年金を支払うのは最長70歳までとなります。
年金受給資格を得るためには年金をいつまで払う必要があるのか
年金をもらうためには、保険料をいつまで払う必要があるのでしょうか。
まず給付される年金には、国民年金による老齢基礎年金と厚生年金による老齢厚生年金があります。
これらの年金をもらうためには、年金の保険料を支払った期間と免除期間の合計が10年以上であることが必要です。
ちなみにこの期間は以前は25年だったのですが、25年は長すぎるので短い期間でも受給資格が得られるように、2017年8月1日から10年に変更されました。
この10年の加入期間ともらえる年金は、
- 老齢基礎年金は、国民年金と厚生年金の加入期間が合計10年以上あればもらえる
- 老齢厚生年金は、そのうち厚生年金に1ヶ月以上加入していればもらえる
となっています。
具体例でご説明すると、
- 国民年金に7年、厚生年金に3年加入している場合:老齢基礎年金を10年分、老齢厚生年金を3年分もらえる
ことになります。
しかしながら、例えば以下のような場合は、老齢基礎年金も老齢厚生年金ももらえないことになります。
- 国民年金に9年加入している場合
- 国民年金に5年、厚生年金に4年加入している場合
2例とも9年間も保険料を支払い続け、上の例に比べても加入期間は1年しか違わないのに、こちらの場合は年金は全くもらえないことになってしまいます。
保険料を丸々払い損していることになりますね。
このように、10年以上支払わなければ年金をもらえないことを知っているかどうかで、老後の生活が影響されるといっても過言ではないでしょう。
60歳になったら厚生年金は払わなくていいのか
「国民年金と厚生年金の違い」のところで、国民年金の保険料の支払いは原則60歳まで、厚生年金の場合は最長70歳までであることをお伝えしました。
しかし国民年金の場合、60歳以上でも保険料を支払う場合があります。
また厚生年金の場合も、60歳で定年になった後も払い続ける方がいらっしゃいます。
どのような方が該当するのか、以下でそれぞれご説明していきます。
国民年金を60歳以降も払わなければならない人とは
「年金受給資格を得るためには年金をいつまで払う必要があるのか」のところで、年金を受給するには、国民年金と厚生年金の支払い期間の合計が10年以上必要であることを述べました。
そして、国民年金の加入期間は原則60歳までなのですが、60歳の時点で厚生年金に加入しておらず、加入期間が10年に達していない場合、受給資格がないことになり年金をもらえなくなってしまいます。
そこで、その10年に満たない期間を補うために、60歳から70歳まで任意で国民年金に加入して受給資格を得ることができるのです。
従って、60歳以降も国民年金の保険料を支払わなければならないというよりは、受給資格を得るために60歳以降70歳まで任意で加入できるという方が正しいかもしれません。
厚生年金を60歳以降も払わなければならない人とは
一方、厚生年金の保険料をいつまで払うかについては、会社に勤務している間であるとお伝えしました。
つまり、会社を辞める、定年退職するまでということになるのですが、最近では社員の雇用の延長を目的とする継続雇用制度などにより、60歳でいったん定年退職してもその後も働き続ける方が多くなりました。
その場合、定年退職後も厚生年金に加入して働く場合、保険料を支払っていくことになります。
ただし、前述したように期間は最長でも70歳までとなっています。
このように、60歳以降もなんらかの形で会社で勤務を続ける方は、最長70歳まで厚生年金に加入して保険料を払っていくことになります。
国民年金・厚生年金の受給開始年齢は原則65歳から
国民年金や厚生年金の保険料を支払う情報に関してご説明してきましたが、次に、年金をもらう時期について見てみましょう。
年金をもらえるのは、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに原則65歳からとなっています。
ただし、60歳~70歳の間で、受け取る時期を変更することも可能です。
具体的には、65歳から60歳までの間で受け取る時期を繰り上げる場合と、66歳から70歳の間で時期を繰り下げて受け取る2つの方法があり、それぞれ受け取る金額が以下のように変わります。
- 繰り上げる場合は、1ヶ月ごとに年金が0.5%減額される
- 繰り下げる場合は、1ヶ月ごとに年金が0.7%増額される
注意点としては、繰上げの場合は、取り消しや変更ができず減額率は一生続きます。
繰り下げの場合は、早く亡くなった場合、合計金額が少なくなるリスクがあります。
65歳以上で厚生年金に加入している場合年金支払いが停止される場合も
国民年金も厚生年金も原則65歳からもらえるとお伝えしましたが、65歳以降も会社に勤め厚生年金に加入している場合は注意が必要です。
会社からの給与等と年金の両方の収入がある一定の金額を超えた場合、年金の支払が一部減額される措置があるからです。
この場合の給与等の金額を「総報酬月額相当額」といい、以下の計算式で表されます。
(毎月の給与 + 1年間の賞与) ÷ 12 = 総報酬月額相当額
そして、この総報酬月額相当額と年金月額の合計が47万円以下であれば、全額もらうことができますが、その合計が47万円を超える場合は減額されてしまいます。
支払停止の対象 | 支払停止となる金額 |
---|---|
総報酬月額相当額+年金月額の合計が47万円超の場合 | (総報酬月額相当額+年金月額)-47万円×1/2×12 |
繰り上げ受給の場合も年金支払いが停止される可能性がある
上で、65歳以上で厚生年金に加入している場合、年金の一部の支払いが停止されることをご説明しましたが、年金の受給を64歳以下に繰り上げた場合にも、収入の金額によって年金が減額されます。
支払停止の対象 | 支払い停止となる金額 |
---|---|
年金月額が28万円以下かつ総報酬月額相当額が47万円以下 | (総報酬月額担当額 + 年金月額 - 28万円)× 1/2 × 12 |
年金月額が28万円以下かつ総報酬月額相当額が47万円超 | {(47万円+年金月額-28万円) × 1/2 + (総報酬月額相当額-47万円)} × 12 |
年金月額が28万円超かつ総報酬月額相当額が47万円以下 | 総報酬月額担当額 × 1/2 × 12 |
年金月額が28万円超かつ総報酬月額相当額が47万円超 | {47万円 × 1/2 + (総報酬月額相当額-47万円)} × 12 |
※ 年金月額 + 総報酬月額相当額 = 28万円以下の場合は減額されない
例えば、年金月額が18万円で、総報酬月額相当額が30万円の場合、支払い停止となる金額は、
年:(18万円+30万円-28万円)× 1/2 × 12 = 120万円
月:120万円 / 12=10万円
となり、月額18万円の年金のうち、10万円も減額されることになります。
もちろん、10万円(年金)+ 給与が実際の収入となるので一概には損をしているとはいえないのですが、ひと月に10万円もらえるはずのお金がもらえないとなると、気持ち的にはかなり損をしている気分になりますよね。
また、この仕組みを知らないまま、年金が増えると思って60歳以降も厚生年金に加入してしまうと大変です。
このような仕組みを理解した上で、60歳以降も厚生年金に加入して働くかどうかをしっかり検討するべきでしょう。
国民年金は任意で加入期間を65歳まで延ばすことができる
国民年金の加入期間は60歳までであると前述しました。
しかし、任意で65歳まで延長しその分の年金を増額することが可能です。
この任意加入を行うには、以下の条件を全て満たすことが必要です。
- 60歳以上 65歳未満で日本国内に住んでいる
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない
- 20歳以上 60歳未満までの保険料の納付月数が40年に満たない
- 厚生年金保険に加入していない
仮に65歳まで延長した場合、支払う保険料はいくらになるのでしょうか。
国民年金の保険料は定額で月額16,540円ですので、65歳までの5年間の総額は、
- 16,540円 × 12 × 5 = 992,400円
となります。
それに対して、この5年間の任意加入によって増える年金の金額の目安を以下のとおりです。
- 70歳まで:約488,000円
- 75歳まで:約977.000円
- 80歳まで:約1,465,000円
これをみると、75歳を過ぎるあたりで、任意加入で払った金額よりももらう金額の方が多くなりそうですね。
また、保険料を支払う場合に、2年、1年、半年などの前納制度を利用すれば保険料が割引されるので、さらにお得になります。
年金の未加入・未納・免除期間があり加入期間が足りない人におすすめ
上で任意加入の条件について述べましたが、60歳から65歳未満の方ではどのような方が任意加入すべきなのでしょうか。
- 年金受給資格の10年を満たしていない方
- 老齢基礎年金の満額の40年を満たしていないが、満額を希望する方
これらの方は、任意加入することをおすすめします。
特に1に関しては、10年を満たすかどうかで、年金をもらえるかもらえないかという大きな違いがあるからです。
また、65歳から70歳未満の方でも、以下の場合に任意加入することができます。
- 65歳の時点で年金受給資格の10年を満たしていない方
つまり、任意加入しなければ年金は全くもらえませんが、70歳の前月までの間で受給資格の10年に到達する場合、任意加入すれば年金をもらうことができるのです。
国民保険の任意加入申請方法
任意加入をするには、届出が必要となります。
60歳の誕生日の前日から申請が可能で、ご自身が住んでいる地域の役所または国民年金担当窓口で申請を行います。
持参するものは、年金手帳または基礎年金番号通知書、預金通帳、銀行機関届け印などが必要です。
65歳未満の場合は付加年金の申請も一緒に行うことができます。
付加年金とは、月額400円の付加年金保険料を払うことで、月額200円の年金が加算されるというものです。
つまり、付加年金を2年以上もらうことで、払った保険料よりも多くの付加年金をもらうことができます。
年金はいくらもらえるのか?満額・加入期間ごとに解説
国民年金は加入期間によってもらえる金額が変わる
最初に国民年金について、いくらもらえるか見てみましょう。
老齢基礎年金の満額は年間約78万円で、20歳から60歳までの40年間加入していれば満額をもらうことができます。
従って、40年間に対してご自身が保険料を払った期間の割合によって、もらえる年金が変わってきます。
具体的な計算式は、
78万円 × 納付した月数 / 480ヶ月
となります。
例えば、加入期間が30年間の場合は、
78万円 × 360 / 480 = 58.5万円
となり、585,000万円がもらえます。
また、経済的な理由などで国民年金の保険料を払えず保険料の免除制度を利用した場合も考えてみます。
保険料の免除制度は、全額または一部を免除するもので、免除される額は以下のように定められています。
免除制度 | 免除額 |
---|---|
全額免除 | 16,540円 |
4/3免除 | 12,400円 |
半分免除 | 8,270円 |
4/1免除 | 4,130円 |
そして、この免除制度を利用した場合、もらえる年金は、
- 78万円 × {(全額納付した月数)+(全額免除した月数 × 4/8)+ 1/4納付した月数 × 5/8)+(半額納付した月数 × 6/8)+(3/4納付した月数 × 7/8)}÷ 480ヶ月
の計算式で求められます。
ちょっと複雑ですので、簡単な例として、40年のうち、36年間(432ヶ月間)を全額支払い、4年間(48ヶ月間)全額免除された場合を計算してみましょう。
78 ×{432 +(48 × 4/8)}÷ 480 = 74.1
このように、40年間のうち支払いを4年間全額免除された方は、741,000円の年金をもらえることになります。
厚生年金は支払った保険料によってもらえる金額が変わる
厚生年金の場合は、多く払った人ほど多くもらえますが上限が設定されています。
詳しくご説明すると、標準報酬月額(給与に対する基準額)、標準賞与額(賞与に対する基準額)に保険料率をかけることで保険料が決まるのですが、この標準報酬月額と標準賞与額に上限が設定されているため、もらえる年金にも上限があるということなのです。
実際にいくらもらえるのかは、50歳以上の方であればねんきん定期便を見ればわかりますが、50歳未満の場合には、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。
ですので、50歳未満の場合で、この加入実績に応じた年金額を元にした計算式をご紹介しておきますね。
加入実績に応じた老齢厚生年金額(万円)+ 平均年収(万円) × 5.481 / 1000 ×(退職年齢-現在の年齢)
以下の例で計算してみましょう。
加入実績に応じた年金額:20万円
平均年収:400万円
退職年齢:65歳
現在の年齢:30歳
20 + 400 × 5.481 / 1000 ×(65-30)= 96.734
となり、年間967,340円の老齢厚生年金をもらえることがわかります。
まとめ:年金はいつまで払う必要があるのか
年金について、いくらの保険料を、いつまで払うのか、いくらもらえるのかなどについて解説してきました。
最後に大切なポイントをもう一度まとめておきましょう。
- 国民年金の加入期間は、原則20歳から60歳の40年間、保険料は定額
- 厚生年金の加入期間は、会社に勤務している間で最長70歳まで、保険料は収入によって異なり、会社と個人が半分ずつ負担する
- 受給資格を得るためには、国民年金と厚生年金の支払い期間の合計が10年以上
- 受給開始年齢は、原則65歳からだが、繰上げや繰り下げも可能
- ただし、繰上げの場合は減額、繰り下げは増額される
- 受給資格の10年に満たない、満額の40年に満たない場合など、任意で加入を延長できる
- 国民年金は加入期間によって、厚生年金は払った保険料によってもらえる年金の額が決まる
少子高齢化の影響で、将来の年金制度に不安を持っておられる方も多いかもしれませんが、年金が高齢になった時の生活の支えの一部になることには変わりありません。
従って、少なくとも知識がないことで損をしないよう、できれば少しでもお得な受け取り方ができるよう、年金についての理解を深めてくださいね。