更新日:2023/07/20
リース資産の減価償却方法を解説!基礎知識から経理処理方法まで
企業の経営者や経理担当者、個人事業主なら把握しておきたい、リース資産と減価償却の仕組み。そこでこの記事では、「リース資産とは」という基本的な部分から、リース資産の減価償却の方法を解説します。ぜひ、最後まで読んでくださいね!
目次を使って気になるところから読みましょう!
リース資産は期間・リース料が大きければ減価償却の対象になる
リース資産とは、「リース取引で得た資産」のことを指します。
リース取引とは、お金を支払い、ものを借りる「取引」のことです。
企業がパソコンやIT機器・自動車などを導入する際によく用いられます。
減価償却とは、固定資産の購入費用を分割して費用計上すること。
減価償却の対象は、基本的に「購入資産」のみ。
リース資産は、通常一時的に借りている状態となるため「購入資産」には該当しません。
しかし、
- 長期間、リース資産を「独占状態」で使用していた
- リース期間が長くそれなりの「リース料」が発生する
上記条件に当てはまるリース資産は、「減価償却」が可能です。
【前提知識】減価償却とは?
減価償却とは、固定資産を使用する年数に応じ、購入費用を分割し、費用計上すること。
つまり、固定資産の購入代金を、購入した年に一度で経費にせず、分割し少しづつ経費として計上することです。
毎年「経費」として計上するため、税金対策にもつながります。
減価償却の対象になるのは、
- 時間が経つと利用価値が下がるもの
- 最後に価値が「ゼロ」となるもの
です。
例えば、建物・設備・備品・工具・ソフトウェアなどが挙げられますね。
自動車や船などの乗り物も減価償却の対象です。
これらは全て、長期間使うことで次第に価値が下がり、最後には資産としての価値がゼロになるものです。
「ソフトウェア」はわかりやすい例です。
「ソフトウェア」は、どんどん新しいバージョンが出てきますよね。
つまり、現在かちが高いものでも時間が経つと古くなり、最後には利用価値が「ゼロ」になります。
減価償却に当てはまる資産は「減価償却資産」と呼ばれます。
反対に、減価償却できないものは、
- 業務に使用していない固定資産
- 時間が経っても劣化しない固定資産
です。
時間が経っても劣化しないものは、美術品・骨董品・土地などが挙げられます。
美術品や土地は年数が経っても価値が下がりにくいからです。
業務に使う機器でも稼働してない場合は、減価償却としては認められません。
リース資産を減価償却できる場合とできない場合
リース資産でも、減価償却が認められるのはリース期間が長く、リース料が大きいものです。
例えば、車を社用車として長期間リースしていた場合。
レンタカーとは異なるため、「独占状態」だったと判断できますよね。
他人からすれば「所有物」と言われても全く違和感がない状態です。
つまり、リース資産でも
- 長期間「独占状態」だった
- リース期間中「所有」と同じような価値があった
- リース期間中、それなりのリース料金が発生した
このような場合は、「減価償却」できる場合があります。
具体的に、リース資産が減価償却できるかは
- どのくらいのリース期間だったか
- リースにかかった総額はいくらだったか
で判断されます。
具体的な数字の条件は、
- リース期間が1年以上
- リース料の総額が300万円以上
上記2つです。
つまり、リース資産でも
- リース期間が1年以内
- リース料の総額が300万円以下
リース資産の減価償却方法
ここまでは、「リース資産」でも、リース期間・リース料によっては、固定資産と同じように「減価償却」が認められるとご説明しました。
そもそも、なぜ減価償却を行う必要があるかご存知でしょうか?
減価償却は、会社の財務状況を正確に判断するためにあるものです。
もし、500万円の印刷機を購入した年に「全額」経費計上したとします。
初年度は購入費用が多額だったため、赤字です。
しかし、翌年は急激に黒字に回復する可能性があります。
つまり、 複数年使うものを、初年度だけで会計処理してしまうと、実際の会社の経営状況と数字が合わなくなってしまうのです。
減価償却で、耐用年数の期間で経費計上ですることで、公平な会計処理ができます。
この後は、まず、通常の固定資産の減価償却の方法をご説明します。
そして、リース資産の減価償却の方法についてご説明します。
ぜひ最後までご覧ください。
【前提知識】購入した資産の減価償却方法:定額法と定率法
購入した資産は、 「定率法」「定額法 」のどちらかの方法で減価償却されます。
定率法とは、 初年度に、減価償却費を大きい金額で計上し、年々減少していくもの。
計算式は、
「 減価償却費=(取得価額-減価償却累計額)×定率法の償却率」
例えば、耐用年数が5年の機材を100万円で購入した場合。
初年度は、 100×0.4※=40
2年目は
(120-48)×0.4※=24
という計算になります。
(※償却率が0.4の場合「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」)
つまり、
- 初年度は40万円
- 2年目は24万円
上記の金額を「減価償却費」として計上します。
年々「減価償却費」が減少していくのが「定率法」の特徴ですね。
定額法とは、 毎年に同じ額を「減価償却費」に計上するものです。
計算式は、
「減価償却費=取得価額×定額法の償却率」
例えば、耐用年数が5年の機材を100万円で購入した場合。
120×0.2※=20という計算です。
(※償却率が0.2の場合「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」)
つまり、毎年「減価償却費」を「20万円」で計上します。
毎年同じ金額のため、間違いが起こりにくいのが「定額法」の特徴ですね。
リース資産の減価償却方法:リース期間定額法
リース資産は、リース取引の内容によって減価償却の方法が異なります。
「所有権移転リース」
固定資産と同じ方法で減価償却します。
所有権移転リースは、リース期間の終了後、所有権が貸主から借主に移ります。
つまり、購入と同じ意味を持つため、固定資産と同じ方法で減価償却されます。
「所有権移転外リース」
「リース期間定額法」で減価償却します。
リース期間定額法とは、リース資産の「償却限度額」を定め、償却する方法です。
償却限度額は、
償却限度額=リース資産の購入代金/全リース期間の月数×当期のリース期間の月数
で計算されます。
例えば、
- リース資産の購入代金=90,000円
- 全リース期間=4年
- 当期リース月数=12ヶ月
の場合 。
全リース期間=12×4=48ヶ月
90,000/48ヶ月×12ヶ月=22,500円
償却限度額は、22,500円ということがわかります。
つまり、毎年22,500円が「減価償却費」として計上される計算です。
リース期間定額法は、
- 定率法は使えない
- 余裕があっても、早期に多額の減価償却費を計上できない
上記のようなデメリットもあります。
しかし、
- 減価償却期間は、耐用年数の70%まで短くできる
- 毎年「減価償却費」が一定のため間違いが起こりにくい
などのメリットも挙げられると言えるでしょう。
リースと購入はどちらが良い?
「結局、リースと購入どっちがお得なの?」と思われた方も多いかと思います。
結論から申し上げると、リースと購入「こっちが確実にお得だ」と断言できるものではありません。
それぞれ、良い面も悪い面も持ち合わせているからです。
そこで、リースと購入、それぞれのメリットとデメリットをまとめました。
現在、会社の設備や備品をリースするか、購入するか検討されている方はぜひ参考にしてくだい。
▼リースのメリット
- 初期費用が抑えられる
- 設備導入が検討しやすい
- 「所有物」ではないため、事務処理が楽
- 途中解約ができない
- 購入に比べ、支払いの総額は割高となる
- 会社の資産になる
- リースに比べ、長期で考えると割安
- 買い替えや売却が自由に判断できる
- 大きな初期費用が発生する
- 購入にあたり「借り入れ」が必要な場合がある
- 金額によっては固定資産税が発生する
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